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町工場で学んだ職人魂が、RPA習得に役立った話

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派遣でとある町工場のNC旋盤工になった

私は派遣として、とある町工場で働いていたことがあり、そこで、NC旋盤という機械で、金属加工の仕事をしていました。
NC旋盤とは、数値によって刃物を制御して、ただの金属の塊から、あらゆる形の金属を作り出します。
数値と刃物の組み合わせのパターン凄まじく多く、何年も掛けて覚えられるものを、派遣の契約の中でやっていました。

仕事は見て覚える、それが職人

派遣なんてずっと居るものではないですし、とっとと教えて、戦力にした方が良いと私は考えていましたが、なかなか教えたがりませんでした。

ある日、毎日のようにミスをしていたので、しびれを切らした派遣先の方が、「仕事はね、見て覚えるもんだよ」私は衝撃を受けました。何言ってんだと思いましたね。

派遣契約は当時3年までしか延期が出来ませんし、3ヶ月更新なので、なんなら3ヶ月で辞めることだって出来るのです。にもかかわらず、見て覚えろとか、全く意味がわかりません。当時、若かった私は、この人が何を考えているのか全く理解できませんでした。

結果、私は3ヶ月で辞めさせていただきました。

今なら理解出来るのですが、こういう長年かけて技術を身につけた先輩方が居る仕事においては、なかなか教えたがらないのが普通です。なぜなら、彼ら自身が長年試行錯誤して、怒られつつも、時には、先輩の技術を盗み、またトライを繰り返した結果、一人前になったのです。
そんな技術を、たかだか入ってきて1ヶ月にも満たない人間に、簡単に教えることが出来るでしょうか。

これは、私の覚えが悪かったのもあるかもしれませんが、派遣に対する理解が全くなかった派遣先と、このようなところに派遣した派遣会社が悪いです。一体、派遣会社側と派遣先の間ではどのような話をされていたのでしょうか。これは、未だに疑問に感じるところです。
一応、すぐには仕事は出来ないことは織り込み済みだったようですが、派遣から正社員になれる保証はなかったので、ずっと居るなんて考えられませんでした。

ただポジションを守るため?

いろんな業種で派遣の仕事をしてきましたが、技術職でない所であっても、何故か教えたがらない所がありました。そんな職場は論外で、期限付きの派遣は雇うべきではありません。派遣というものはどういうものなのか、理解した上で、受け入れるべきです。
また、少々理不尽な対応を受ける派遣先は、ずっと居て欲しい人を選別しているか、自分の仕事を奪われるのが嫌なのか、どちらかである可能性があります。仕事を奪われるのが嫌な人に限って、毎日「忙しい、忙しい」と、大変さをアピールしているものです。

派遣先の指揮命令者に必ずしも人事権があるわけではありません(この場合は、派遣を選ぶ権利があるかとなりますが)。なので、顔合わせの際、この人とは合わないだろうなと、派遣先上司が思っていても、受け入れるしかない場合って結構あります。なので、派遣社員からすると、何でここ派遣雇ったんだろうと疑問に思うことは、よくあることだったりします。

派遣のスペックが高すぎて自分の立場が危うかったり、なんとなく気が合わない派遣が来ようなら、辞めてもらうために、いろんな事(苦笑)をしたりするものです。

役に立った職人魂

私は初めて客先でRPAの仕事をしたとき、研修は一通り受けていたのですが、まったく通用しませんでした。慣れていない時期というのは研修を受けても、どこを覚えれば良いのか、どこが応用が利くのかなんて全くわかりませんから、研修のお題通りの業務しかRPA出来ないはずです。

ですので、最初私がとった行動は、派遣先の共有フォルダにある、既に完成されたRPAのロボを、こっそり見て、真似て、理解をしました。これはまさに、見て覚えろの教訓が活きた瞬間でした。

契約更新されるかどうかの立場でありましたので、必死こいて、技術を盗みました。自分に課せられたRPA化の仕事をやっているフリをして、勉強をしていたのです。契約を更新されない可能性を考えて、次探すことになっても大丈夫なようにしました。

結果、とあるRPAツールに関しては、どんな依頼が来てもどうにかなるんじゃね?と思えるぐらいにはなりました。自動化できるものには条件があります。なので、RPA化出来ない課題に関しては、突っぱねる事が出来ます。そういった判断も出来るくらい自身がつけば、かなり力はついているはずです。

これもあのとき、共有フォルダを覗きまくって、自分のものにどうにかしようとした、あたかも職人の見習いのような貪欲さと、契約更新という焦りが自分を駆り立てたのだと思います。

無駄では無かった3ヶ月

たった3ヶ月しか働かなかったNC旋盤工。

実は辞めてからも、なぜ自分は3ヶ月で辞めたのか、を考えることがありました。そして、いろんな仕事をして、いろんな人と会う内に、職人さんとはこういうものなのだから、しょうがないと自分なりに納得できた事が大きかったと思います。

RPAエンジニアも、ある意味職人です。

決して無駄な3ヶ月じゃなかったと、今は感じています。

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